水位計の基礎知識
水位計(レベルゲージ)の概要や特徴、メリットをわかりやすく解説しています。
当ページで水位計(レベルゲージ)の役割、仕組み、構造、種類、使い方、技術解説を学べます。
水位計とは
水位計とは水位センサーとも呼ばれ、水位(水面の高さ・レベル)の変化を自動で検知する測定器となります。 洪水や水害を防ぐために、下水処理場や下水道、河川、ダム、溜池、貯水池、用水路、タンク、プール、農業用水などの水位を把握することを目的として監視・観測が行われています。水位計は水位管理の自動化に必須なアイテムで、水に関連する施設や防災施設に利用されているケースが多いです。
水位計の必要性
地球温暖化によるゲリラ豪雨や大型台風の影響で、中小河川だけでなく、大規模河川の氾濫による洪水や水害が多発しています。河川やダムの水位を測定することで、ある一定の水量に達した場合に、ダムの放水を緩めるなどの制御が行え、洪水や水害の予測ができます。
この水位測定に必要なアイテムがリアルタイムに水位情報を取得できる『水位計』です。水位計は水位監視システムの検出部、データロガー(記録)として利用されます。
水位計の役割
ダム・河川用
ダムは水道用水管理や治水(河川氾濫や渇水時に調整)の役割があります。正しい水量管理や、河川の危険水位監視ができなくなり水害発生に繋がります。
下水道用
下水道は街を清潔に保ちます。下水管理がなくなれば汚水が氾濫し街が不衛生なる他、川や海に流れ環境悪化となります。
防災用
法(のり)面の水位観測や街中の浸水の検知をしていますので、水害時の避難や現地の状況把握ができなくなります。
水位計の種類
水位計として使用されるセンサーの種類は大きく接点方式と連続方式に分かれます。接点方式はスイッチ式、電極式があり、連続方式は投げ込み式、フロート式・ガイドロープ式、気泡式、超音波式があります。水位計は測定方式によって様々な種類があり、測定の場所などによって最適な方式を選ぶ必要があります。
各方式には長所・短所があるため、用途や使用環境に応じた水位計の選定をおすすめします。例えば、フロート式だと浮き(フロート)の不具合により、計測ができなくなるおそれがあるのに対し、投げ込み式(圧力式)だとそういったフロートの影響がないといった特徴があります。投げ込み式(圧力式)は当社がおすすめする水位計は投げ込み式です。特徴は以下の表に詳しくまとめました。
出力 | 測定方式 | イメージ | メリット | デメリット | |
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水位計 | 接点方式(ON/OFF出力) 水と接することでON/OFFの信号を出します |
スイッチ(浮き子)式 液面に浮かべたフロートの位置により水位を表示 |
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電極式 可動部がなく、水に接触したときの通電の有無により水位を表示 |
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連続方式(アナログ出力) アナログ信号により、水位をリアルタイムで監視できます |
投げ込み式(圧力式) 水圧から演算して水位を表示 |
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フロート式・ガイドロープ式 浮きの上下量により水位を表示 |
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気泡式 エアーを出す時の圧力を地上部のセンサで検出して水位を表示 |
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超音波式 超音波が水面で跳ね返り戻るまでの時間で水面の位置を検出 |
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おすすめの投げ込み式水位計とは?
投げ込み式水位計は、水底に設置することで水位計に加わる水圧により水の高さ(水位)を自動で測定します。 ただし、タンク内圧力が大気圧という条件での利用となります。投げ込み式水位計は、設置スペースが狭い場所にも容易に取り付けでき、常に水位のモニタリングが可能です。
水位は水の高さ(=上にある水の重さ)に比例します。
つまり、投げ込み式水位計の観測値は、細い井戸も広いプールでも水深が1mであれば、同じ1mとなります。
投げ込み式水位計の原理と構成部品
水位計の測定原理はセンサーの裏面に大気圧が加わることで水圧のみを検知します。
投げ込み式水位計のメリット・デメリット
メリット
- 簡易施工、装置の組み込みが用意
地上部でケーブルを固定し、センサ部を沈めればOK - ゴミ・泡等の誤作動がない
ゴミ等は未検出で純粋に水だけを見ている
デメリット
- 腐食媒体に弱い
媒体内で直接測るので製品の材質確認が必要 - 腐食対策のチタン製は存在するが高価
維持管理について
- ゴミの付着がある現場では、汚れの程度に応じて水位計先端部分の洗浄等メンテをしてください。(メーカーによっては先端キャップを外して洗浄できるタイプもあります。)
- 水位計は底から液体の上部を基準測量する計測機器のため、年1回、水位計の出力確認(校正)をしていただき、出力に異常がある場合は、販売店へお問い合わせください。
水位測定のFAQ
出力を4~20mAmのままで、水位計の測定範囲を変更する事です。変更方法は水位計自身で変更するものと、周辺機器(ディストリビュータ等)で変更するタイプがあります。
通常水位計は水底へ沈めて4mA に合わせますが、下水の場合ヘドロ等に埋まらないよう少し上に設置します。仮に水槽の底から10m上げた場合は10m分の出力を加算(シフト)します。これにより水槽の底を0mとして計測管理できます。
水位計と電源間に入って良い電気的抵抗値が負荷抵抗です。出力4~20mAタイプの製品では600Ωまでが多く、ディストリビュータ、避雷器、表示器、ケーブル等の合計が600Ωを超えないように接続してください。
水位計から4~20mAが出力するものは問題ありません。水位計から専用信号が出ているものはメーカーへご確認ください。
水位計は水圧で水位を測っています。この為気圧の影響を受けるので補正をしています(水圧と大気圧の差圧計測)。この役割が大気圧参照パイプでケーブルに内蔵されています。無いと台風と平時で水位に差が出てしまいます。
<補足説明>
水深=水圧(水の圧力+大気の圧力)ー大気の圧力
中継ボックスの目的
・水位計のケーブル(専用線)から汎用線にする為の端子台
・現場で表示が見れる
・ボックスで大気圧開放
もしも表示が不要でしたら、汎用のボックスを加工(大気圧開放機構付き)しての使用でも問題ありません。
水位計は設置環境に合わせて選定する必要がありますが、公的なところが管理している下水道や水処理施設では、信頼性の高い投げ込み式の水位計が採用されているケースが多いです。あとはメンテナンスが簡単であったり、耐環境性(腐食に強い)に優れたものが好まれます。
接点方式はONとOFFの2つの信号しか出力されません。つまり、照明のスイッチのイメージです。細かな閾(しきい)値の設定ができません。
連続方式はアナログ出力を使ったタイプとなります。アナログ出力には電流タイプ(4〜20mA)と電圧タイプ(0〜10V)が主流で、細かく閾(しきい)値の設定をすることができます。
詳細は販売店に問い合わせください。
水位計や周辺機器で避雷器内蔵型もありますが、ディストリビュータには避雷器が付いてないので保護する為設置を強くお勧めします。内蔵型の周辺機器の場合は2重設置になりますが、周辺機器でなく避雷器の交換は安価で簡易な為設置をお勧めします。