超高精度軸受PRECILENCE®の量産開始
- 商品・技術
ダイベア株式会社(以下、ダイベア)は、株式会社ジェイテクト(以下、ジェイテクト)と共同で、超高精度軸受『PRECILENCE®(プレシレンス)』を開発し、量産を開始いたしました。
ジェイテクトグループのグローバル戦略の下、急速な環境変化とお客様のニーズの高度化に対応した高付加価値製品の開発を目指す中で誕生した、最高精度の軸受『PRECILENCE®』 は、様々な業界のお客様の課題を解決していきます。
1.開発の背景
工作機械の高精度スピンドル用軸受には、精度と入手性の良さから、ドイツDIN規格の精度等級『P4S』が現在広く使用されています。
しかし、近年、工作機械精度の高度化に対応できる製品への需要の高まりを受け、ジェイテクトグループでは、精度・寿命そして静粛性などにおいて、従来品*を上回る軸受の開発に取り組み、ダイベア和泉分工場において、DIN規格『P4S』と同等以上の軸受と、『最高精度』の回転性を実現する『P2』軸受の製造に成功いたしました。
* 一般市販流通P4S製品
PRECILENCE®はPRECISION(精度)とSILENCE(静粛)を一つにした、超高精度軸受のブランド名で、今後シリーズで展開していきます。
【製品外観】
『PRECILENCE®』はジェイテクト・ダイベアの登録商標です。
2.開発品の特長(『P2』軸受)
軸受の5つの基本性能「精度よく回る」、「静かに回る」、「速く回る」、「軽く回る」、「長く回る」を高い次元で実現しています。
①精度よく回る(精度)
軸受構成各部品の精度を完成品性能にこだわり全面的に見直すことで、回転精度は従来品の約1/4。
②静かに回る(静粛性)
転がり表面の粗さを非常に滑らかに仕上げ、さらに玉と保持器のダイナミックス性能に改良を加えることで、揺れと振動の抑制を実現し、振動値は従来品の約1/2。
③速く回る(高速性)
軌道輪に新たに強靭な高窒素ステンレス鋼を採用することで、軸受鋼品と比較し最高回転速度が約30%向上。
④軽く回る(低トルク)
転がり運動の阻害要因を大幅に取り除き、回転トルクは従来品の約30%低減。
⑤長く回る(長寿命)
高速回転に有利とされる小さい玉径をあえて使用せず、大きな玉径のセラミックスを採用することで、寿命は従来品の約2倍。
【基本5性能の比較】
3.スピンドル組付時の実績
①組付性と、回転精度向上を実現
軸受の回転精度が非常に高いため、ラジアル振れ最大位置の位相調整が不要で、スピンドルの振れ精度の調整もほとんど必要なく軸の振れ量は≦1μmを達成。
②高速回転時の軸振れ量削減
30,000min-1回転時に従来品を組付けたスピンドルと比較し、軸の振れ量は1/2を達成。
③回転速度向上
従来品と比較し、最高回転速度が35%向上。
4.販売計画
【量産開始】 2020年4月
【販売開始】 2020年4月
呼び番号7005C〜7010Cの即納販売を開始し、順次サイズを拡充していきます。
【販売目標】 2025年 20億円
【販売先】 精密加工機メーカー、半導体製造装置メーカー、宇宙機器産業、精密測定器メーカーなど
【製造工場】 ダイベア和泉分工場(超高精度軸受専用工場)
<参考>
【DIN規格とは】
ドイツ規格協会が制定する、ドイツ連邦共和国の国家規格で、ドイツ国内のみならず、国際的に広く参照される規格です。
【DIN 620とJIS1514の等級比較】
DIN | Normal Class |
Class P6 | Class P5 | Class P4 | Class P4S | Class P2 |
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JIS | 0級 | 6級 | 5級 | 4級 | ― | P2級 |
使用レベル | 一般級 | ― | 精密 | ハイエンド | 超精密 |
ダイベアは、モノづくりにより、希望に満ちた未来と豊かな社会の実現に貢献します。