絶縁

セラミック転動体で絶縁性能を実現した電食を防ぐベアリング

電動機や発電機などに使用されるベアリングの損傷の一つに電食という現象があります。電食とは、回転中のベアリング内部を電流が通過したとき、スパークが発生し、接触部の表面が溶融する損傷です。
発電機やモーターを利用する機器などでは、この電食を防ぐため、ベアリングに電流を通過させないバイパス構造を用いるか、絶縁性能を有するベアリングが必要になります。ジェイテクトでは、セラミックスの優れた絶縁性能に着目し、転動体にセラミックスを用いることで絶縁性能を実現しています。
また、同時に求めらえる複合要件に合わせて、転動体はセラミックスで、外輪・内輪が一般的な高炭素クロム軸受鋼や、ステンレス鋼を用いる組み合わせタイプと、外輪・内輪にもセラミックスを用いる総セラミックタイプがあります。

絶縁性能データ

電食には、一見するとピッチング状（ピット）になるものと転がり接触部分が洗濯板状（リッジマーク）になるものとがあり、それぞれ図4-2 と図4-3 に示します。
軸受に電食が発生するメカニズムの推定を図4-4 に示します。

この対策として、軸受に電流を通過させないようなバイパスを設けるか、または軸受自体が電流を流さない絶縁軸受を用いる方法とがあります。
セラミックスは優れた絶縁性能をもつことから、転動体にセラミックスを用いた組合せセラミック軸受によって絶縁軸受とすることができます（図4-5）。
組合せセラミック軸受は電食防止に加えて回転中の軸受温度上昇の低減、またグリース寿命向上の効果も期待できるので、長期メンテナンスフリー、装置の高速化にも最適な軸受といえます。

また、窒化けい素と比べて同等の絶縁性を有することに加え、線膨張係数が内外輪材に使用される金属に近いという特性を有している酸化物系セラミックスを転動体に用いた組合せセラミック軸受も対応可能にしました。この特性により、温度変化による内外輪と玉のすきま変化を従来よりも小さくすることができ、より幅広い温度環境に適応することができます。

長期メンテナンスフリー用途や装置の高速化にも: ジェイテクトの組み合わせセラミック軸受は、電食防止に加え、回転中の温度上昇の低減、グリース寿命向上の効果も期待できるため、メンテナンスフリー化や装置の高速化にも貢献致します。

絶縁対応製品

製品名		許容回転速度		使用温度（℃）	真空度（Pa）	クリーン度⁽²⁾ （クラス）	即納対応可能サイズの有無
製品名		dn値⁽¹⁾	最大（min^-1）	使用温度（℃）	真空度（Pa）	クリーン度⁽²⁾ （クラス）	即納対応可能サイズの有無
	コロガードプロベアリング®-SC	<10,000	1,000	～200	10^-5	1,000
	セラミック軸受	<10,000	1,000	～200	10^-5	1,000	○
	コロガードプロベアリング®-MD	<10,000	1,000	～200	10^-5	1,000	○
	総玉形セラミック軸受	<4,000	500	～800	10^-10
	非磁性組合せセラミック軸受	<10,000	1,000	～200	10^-5	1,000
	組合せセラミック軸受	一般軸受の1.2倍以上		～120	大気		○