円すいころ軸受 - テーパーローラーベアリング

円すいころ軸受は、内輪・外輪の軌道面ところの円すい面の頂点が軸受の中心線上の一点で交わるように設計されており、メートル系列品の他にインチ系列品も多いベアリングです。

重荷重や衝撃荷重がかかる用途に適しています。

円すいころ軸受の種類

単列円すいころ軸受

ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重とを同時に負荷できます。この軸受にラジアル荷重がかかると軸方向分力を生じるので、2個を対向させるか、2個以上を組合せて使用します。

接触角の違いにより、並・中・急こう配形があり、メートル系列の中こう配形には補助(接尾)記号「C」を付けています。

補助(接尾)記号「J」を付けた軸受は、外輪幅、外輪小端径及び接触角が ISO355の規定に一致しています。
従って、同一呼び番号の軸受の内輪組立品と外輪とはそれぞれ国際的にも互換性があります。

単列

補助記号例
JR
呼び番号例
32004JR

フランジ付き

フランジが外輪外径に円環状に付き、このフランジを利用して 軸方向に位置決めができます。ハウジングへの取付けが簡単になります。

複列円すいころ軸受

1個の複列外輪と2個の単列内輪をもつ外向き(TDO形)と2個の単列外輪と1個の複列内輪をもつ内向き(TDI形)とがあり、いずれもラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を負荷できます。

また、モーメントも負荷できるが、その負荷能力は、作用点位置寸法(a)の長い外向き(TDO形)の方が大きい。

内輪間座(TDO形)又は外輪間座(TDI形)は、軸受を組立てたときに所定の内部すきまを得られるように、あらかじめ寸法調整されています。

複列 外向き(TDO形)

複列の軌道をもつ外輪と2個の単列内輪とを組み合わせています。ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることができます。また、大きなモーメントを受けることもできます。

補助記号例
46T
呼び番号例
46216,46T30216JR/51.5

複列 内向き(TDI形)

複列の軌道をもつ内輪と2個の単列外輪とを組み合わせています。ラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることができます。モーメントを支える能力は外向き(TDO形)と比べて劣ります。

呼び番号例
45240

適用保持器・用途・分野について

主な適用保持器

  • 打抜き保持器
  • 合成樹脂成形保持器
  • ピン形保持器

主な用途

自動車

前輪、後輪、トランスミッション、デフピニオン。

その他

工作機械主軸、建設機械、大形農業機械、鉄道車両減速歯車装置、圧延機ロールネック及び減速装置など。

ベアリングの仕様

主要寸法

メートル系列単列円すいころ軸受......JIS B 1512に準じている。

参考
JIS B 1512では、従来からの3XXの寸法系列によらない新しい寸法系列(ISO355で規定された寸法系列)も規定されている。この寸法系列の構成を次に示す。

〔備考〕

1
上記の系列記号を順に組合せたものを寸法系列と呼ぶ。(例えば、2BC)
2
この寸法系列記号の後に、内径寸法を加えて呼び番号としている。(例えば、2BC080...内径80mm)

標準保持器形式

打抜き保持器(補助記号: //)
大形の軸受ではピン形保持器(FP)を採用した軸受もあります。
※軸受寸法表で区別。

許容傾き角

単列円すいころ軸受
0.0009 rad(3')
※この傾き角以上の場合は、特殊設計となるのでJTEKTにご相談ください。

等価ラジアル荷重 〔注〕アキシアル荷重係数 Y1、Y2、Y3、Y0及び定数eについては、軸受寸法表に記載している数値を用いる。

単列円すいころ軸受

動等価ラジアル荷重
静等価ラジアル荷重

複列・四列円すいころ軸受

動等価ラジアル荷重
静等価ラジアル荷重

〔備考〕

1
単列円すいころ軸受を2個対向させて使用する場合は、ラジアル荷重を受けた時に生じる軸方向分力を考慮する必要がある。
参照:動等価荷重(表5-9)
2
運転中の軸受荷重が小さくなり過ぎたり、組合せ軸受においてラジアル荷重に対するアキシアル荷重の比率が寸法表中に記載したe値を超えると(Fa / Fr> e)、ころと軌道との間で滑りを生じ、スミアリングを起こす恐れがある。このような荷重条件で使用する際はJTEKTにご相談ください。

寸法表・技術計算ツール・CAD図ダウンロード

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