耐水素環境用軸受「EXSEV-H2」の開発 ~脱炭素化社会の実現に向けて~
- 商品・技術
株式会社ジェイテクト(以下ジェイテクト)は、水素燃料電池車(以下FCV)の水素循環ポンプなどに使用する、従来比10倍※1の高耐久・高耐食軸受を開発しました。
水素雰囲気という特殊な環境においては、水素脆化※2による早期破損が課題となっていましたが、この開発品により、軸受の長寿命化が可能となり、ユニットの小型軽量化や、低フリクション化が可能となりました。
ジェイテクトの技術力で、FCVの耐久性と信頼性の向上を実現し、水素利活用によるカーボンニュートラルの推進に貢献してまいります。
※1 当社比
※2 水素脆化とは、水素の侵入により、金属の強度が著しく低下する現象
【開発品 水素環境下で長寿命を実現する軸受 EXSEV-H2】
近年深刻化する地球温暖化の対策として、また持続可能な社会の実現のため、「2050年脱炭素化社会の実現」を目指す方針が日本政府から発表されるなど、CO2の排出規制は国内外で拍車がかかっています。
そんな中、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、水素と酸素で発電し動力を発生させるFCVは、CO2を排出しない環境にやさしいクルマとして注目が集まっています。
FCVでは水素を有効活用するために、燃料電池内で未反応の水素を再利用するための水素循環ポンプが使用されることがあります。
その水素循環ポンプ用軸受は、水素及び水蒸気中で使用されるため、水素脆化しにくく、水蒸気中でも腐食しにくい軸受の開発が必要でした。
そこでジェイテクトは、新たな素材の適応と熱処理により、従来製品の10倍以上となる耐久性と耐食性を持つ軸受を開発しました。
【試験結果 水素雰囲気中での寿命比較】
本開発品をFCVの水素循環ポンプに使用することで、FCVの安全性と信頼性の向上に貢献します。
また、水素環境下において、従来の転がり軸受では水素脆化による早期破損の懸念から使用できなかった用途での使用が可能となりました。
販売目標
【量産開始】 | 2025年 (予定) |
【売上目標】 | 1.3億円/年 |
【販売先】 | 国内外自動車部品メーカー |
製造工場
四国工場,亀山工場,ダイベア株式会社(当社グループ会社)
今回の開発品を通じて貢献可能なSDGsの目標
ジェイテクトは、軸受事業のブランド「Koyo」において、「Key of your operation」を掲げ、お客様とともに課題を解決し、嬉しさを提供するパートナーとして、様々な環境に適応する軸受を提供し、あらゆる産業に貢献してまいります。