「JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載 電動パワーステアリング」と 「電気自動車駆動モーター冷却・潤滑用 電動オイルポンプ」が 日産アリアに採用
- 商品・技術
株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、社長:佐藤和弘、以下「ジェイテクト」)の「JFOPS4採用第2世代内製MCU※1搭載 電動パワーステアリング(以下「EPS」)」と「電気自動車駆動モーター冷却・潤滑用 電動オイルポンプ(以下「EOP」)」が、日産自動車株式会社の「新型EVアリア」に採用されました。
※1「MCU」:Motor Control Unit
【日産アリア】
1.JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSの特長
① 開発の背景
ジェイテクトが世界No.1 & Only Oneを誇るパワーステアリングは、自動車の「走る」「曲がる」「止まる」の「曲がる」を担う重要な機能部品であり、自動運転時にはより高度な安全性が必要となります。そのような中で、先進運転支援システム(ADAS)レベルに応じた安全性を備えるEPSを提供すべく、独自のEPS安全コンセプト「JFOPS※2」を定義しています。
※2「JFOPS」:JTEKT Fail-OPerational System の略。Level 0~4までを定義しておりLevel 4が最上位。
今回開発したEPSは、第2世代内製MCUに、当社安全コンセプトの最上位である「JFOPS4」を採用したものです。MCUを自社開発することで自動車メーカーのニーズにスピーディーでフレキシブルな対応が可能であることに加え、「JFOPS4」によってこれまで以上に高い安全性を確保しています。
② 開発品の特長と嬉しさ
■第2世代内製MCUを搭載
新世代ステアリング制御(JWill※3)により、緻密なチューニングで幅広いお客様の操舵感へのこだわりに応えることが可能です。
※3「JWill」:操舵感向上のためトルクフィードバック機能を取り入れた新世代のEPS制御
■JFOPS4を採用
万一ステアリングMCUに故障が発生した場合でもアシスト継続が可能であり、高い安全性を確保しています。
③ 今後の展開
自動運転の急速な普及を見据え、ステアリングシステムの安全性・信頼性をさらに高めたEPSを世界各国のお客様へ提供してまいります。
2.電気自動車モーター冷却・潤滑用EOPの特長
① 開発の背景
近年急速な勢いで普及している電気自動車は環境負荷が低いことから、カーボンニュートラルへの貢献が期待されています。電力の高効率化や車両の安全性・快適性の向上のために、更なる技術革新が求められています。
そして、自動車の電費向上に直結する駆動モーターの小型・高出力化が進む中、高出力のモーターは発熱量が大きくなるため、更なる冷却効率向上が必要不可欠とされています。ジェイテクトでは、これらの課題を解決するため、駆動モーターを直接冷却し、なおかつ、駆動モーターの回転軸に使用される軸受の潤滑用途を併せ持つ、油冷方式のEOPを開発しました。
② 開発品の特長と嬉しさ
■駆動モーターの冷却に油冷方式を採用
モーターの冷却方式は一般的に使用する冷媒の種類によって空冷、水冷、油冷に分類されます。電気自動車では駆動力の供給源が駆動モーターのみであることから、駆動モーターに連続作動が必要とされるため、効率的な発熱の抑制と高い放熱性が課題でした。
今回採用した油冷方式は、水冷と異なり、駆動モーターの発熱部位に直接通油して冷却できるため、効率良く高い冷却効果が得られます。
■ECU※4・モーター・ポンプの三位一体構造を採用
EOPの構造には、ECU・モーター・ポンプが一体のものと、ECUが別体のものがあります。今回、三位一体構造を採用したことで、ECU別体と比較して小型化・省スペース化による車両への搭載性の向上及び部品点数削減によるコストダウン、軽量化を実現できるという嬉しさを提供しています。
※4「ECU」:Electronic Control Unit
■モーター・ポンプの制御適合
車両駆動モーターの高温時には主に冷却用途として多くのオイル供給が必要となりますが、気温が低くなる極寒冷地では駆動モーターの軸受潤滑用途として使用されます。この幅広い温度範囲においてはオイルの特性は低粘度から高粘度まで大きく変化する性質を持つため、あらゆる温度状態でも安定したオイル供給を可能とする技術が必要です。
今回採用となったEOPでは車両の油温情報からEOP内部の制御パラメータを変化させ、EOPのモーター回転数を適切にコントロールすることで、消費電力を抑えながらオイルをポンプで汲み上げる最適制御を実現しました。
また、本製品は駆動モーターの冷却だけでなく、軸受の潤滑も併せ持っています。駆動モーターの冷却回路と潤滑回路の両方にオイルを供給することで軸受の摩耗を低減し、駆動モーターの高回転を支えています。
3. 今後の展開
本製品を通じて、極寒冷地を含むグローバル市場で、駆動モーターの小型・高出力化による電費の向上と航続距離の延長に貢献します。
今回の2つの開発品を通じて達成可能なSDGsの目標とターゲット
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。