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お客様の課題
- メッキ槽内で使用するベアリングの寿命が短い
- 大きい荷重がかかるため、耐荷重性能も維持したい
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解決策
- メッキ槽内は強酸性の腐食環境であるため酸性の溶液に耐食性を示す素材に変更。
- 耐荷重性能も考慮し、耐食窒化けい素(NCT)を採用することにより長寿命化を実現。
成果
Achievement
- メッキ槽内の強酸性に耐え、耐荷重性能も維持できるベアリングを実現
耐食性素材の選定とテスト
他事例でも示すように腐食環境は非常に様々であり、長寿命を実現するには溶液とベアリングの素材の相性が必要となります。
このため、ジェイテクトでは、耐食性を示すいくつかの素材のベアリングを腐食環境にてテストしました。
酸性への耐食性能と、耐荷重性能の両立
テストでは、通常の窒化けい素(NC)に加えて、酸性の溶液により優れた耐食性を示す、耐食窒化けい素(NCT)と、炭化けい素(SiC)を用い、セラミックボールの重量と硬度を指標に耐食性を確認しました。
結果として、通常の窒化けい素(NC)のセラミックボールでは、重量・硬度ともに減少しましたが、耐食窒化けい素(NCT)と炭化けい素(SiC)のセラミックボールでは、変化がないことが確認できました。
ただし、上記の実験はあくまで荷重がかからない状態での結果でした。
炭化けい素(SiC)は非常に高い耐食性能を持ちますが、耐荷重性能では若干劣ります。
このため、上記腐食環境下では、耐荷重性能・寿命を考慮すると耐食窒化けい素(NCT)のベアリングが優れると判断できます。
このように、耐食性能だけでなく、諸条件を考慮することで、メッキ槽内でのベアリングの長寿命化に成功しました。
製品開発者より
JTEKT Voice
腐食環境に対応するために素材を変更しても、耐荷重性能が落ちたり、その他破損が起きるなどし、結果的には寿命を延ばすことができない場合があります。
腐食環境で使用するベアリングは、それまでの性能を維持した上で、耐食性能を得られるようにする必要があります。
ジェイテクトではお客様の環境を再現したり、実際にお客様の環境を使わせていただきテストを実施することで、中長期的に破損を減らしコスト削減を実現するためのベアリングをご提案したいと考えています。
腐食環境下でのベアリングの損傷や、ランニングコストでお悩みのお客様はぜひジェイテクトまでご相談ください。
(産業機器技術部 精密機器軸受技術室 EXSEVグループ)
対象製品
Product
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ジェイテクトでは、特殊環境用ベアリング EXSEVシリーズとして、ステンレス鋼でもSUS440よりも耐食性が優れる析出硬化系ステンレス鋼(SUS630)などを用いたベアリングや、窒化けい素、耐食窒化けい素、炭化けい素などの総セラミックベアリングを、ラインナップし、様々な腐食環境への対応を実現しています。
これらにより半導体、高機能フィルムおよび食品製造分野などの設備の長寿命化やメンテナンスコスト低減など、お客様の困りごとに幅広く対応し、生産性向上に貢献してまいります。
※EXSEV(エクゼブ)はジェイテクトの登録商標です。
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