『フレーキング(剥離)』とはどのような損傷ですか?
『フレーキング(剥離)』とは、材料の転がり疲れによって、 軌道面や転動面の表層部が "うろこ状にはがれる"現象をいいます。
フレーキング(剥離)の画像1
フレーキング(剥離)の画像2
この現象が生じたときを、軸受の寿命に達したものと判断しています。
しかし、 使用開始から、早期に生じた場合には、何らかの異常が考えられるので、原因の究明と対策が必要です。
参考:ピッチング( Pitting)
材料の転がり疲れにより生じる損傷には、ピッチングと呼ぶものもあります。
これは、軌道面に深さ0 .1mm程度の微孔が生じる現象をいいます。
損傷状態による原因と対策
- 早期に生じたフレーキング
- ラジアル軸受で、軌道の片側に生じたフレーキング
- 軌道の円周方向対称位置に生じたフレーキング
- ラジアル玉軸受で、軌道に対して斜めに生じたフレーキング
ころ軸受で、軌道面や転動面の端部の近くに生じたフレーキング - 転動体の間隔と等しいピッチで、軌道に生じたフレーキング
1.早期に生じたフレーキング
原因
- 軸受内部すきまの過小
- 潤滑剤の不適又は不足
- 過大な荷重
- さび
対策
- 適正な軸受内部すきまを選定する
- 潤滑方法、潤滑剤を見直す
2.ラジアル軸受で、軌道の片側に生じたフレーキング
原因
- 異常なアキシアル荷重
対策
- 自由側軸受の外輪とハウジングのはめあいを『すきまばめ』にする
3.軌道の円周方向対称位置に生じたフレーキング
原因
- ハウジングの真円度不良
対策
- ハウジング穴の加工精度を修正する
※特に、二つ割りハウジングの場合、精度の確保に注意
4.ラジアル玉軸受で、軌道に対して斜めに生じたフレーキング
ころ軸受で、軌道面や転動面の端部の近くに生じたフレーキング
原因
- 取付け不良
- 軸のたわみ
- 軸やハウジングの精度不良
対策
- 芯出しを正確に修正する
- 軸受内部すきまを大きくする
- 軸やハウジングの肩の直角度を修正する
5.転動体の間隔と等しいピッチで、軌道に生じたフレーキング
原因
- 組込み時の大きな衝撃荷重
- 円筒ころ軸受や円すい軸受の場合の組込み傷
- 運転休止時のさび
対策
- 組込み作業の改善(見直し)をする
- 長期間、運転休止する場合はさび止め処理する