【技術計算ツール】寿命計算の使い方を教えてください。
本ページではジェイテクトが提供する、ベアリングの技術計算ツールについて説明しています。
技術計算ツールは以下のリンクからご利用いただけます。
寿命計算について
必要寿命
対象となる軸受の必要寿命を入力します。
使用軸受の寿命を大きくすることは、必ずしも経済的ではありません。
使用機械や使用条件によって、その軸受の必要寿命を設定するのがよいでしょう。
経験的に採用されている必要寿命時間を参考に示します。 (時間)
使用条件 | 使用機械 | 必要寿命時間 (h) |
---|---|---|
短時間、又は断続的に運転 | 家庭用電気器具、電動工具、農業機械、重量物巻上げ装置 | 4000 - 8000 |
常時使用しないが確実な運転 | 家庭用冷暖房器用電動機、建設機械、コンベヤ、エレベ-タ | 8000 -12000 |
不連続であるが長時間運転 | 圧延機ロ-ルネック、小形電動機、クレーン | 8000 -12000 |
工場電動機、一般歯車装置 | 12000 -20000 | |
工作機械、振動スクリ-ン、クラッシャ | 20000 -30000 | |
コンプレッサ、ポンプ、重要な歯車装置 | 40000 -60000 | |
1日8h以上常時運転、 又は連続で長時間運転 |
エスカレ-タ | 12000 -20000 |
遠心分離機、空調設備、送風機、木工機械、鉄道車両車軸 | 20000 -30000 | |
大形電動機、鉱山ホイスト、車両用主電動機、機関車車軸 | 40000 -60000 | |
製紙機械 | 100000 - 200000 | |
24h連続運転、故障が許されない | 水道設備、発電所設備、鉱山排水設備 | 100000 - 200000 |
必要安全係数
軸受は過大な静荷重を受けたり、極低速回転でも衝撃荷重を受けると、転動体と軌道との接触面に
局部的な永久変形を生じます。この永久変形量は荷重の増大とともに大きくなり、ある限度を超えると
円滑な回転を妨げるようになります。その安全度を検討するために安全係数が用いられます。
安全係数=基本静定格荷重/静等価荷重
経験的に採用されている必要安全係数を参考に示します。
使用条件 | fs(最小) | ||
---|---|---|---|
玉軸受 | ころ軸受 | ||
回転する場合 | 高い回転精度を要する場合 | 2.0 | 3.0 |
普通の使用条件 | 1.0 | 1.5 | |
衝撃荷重のある場合 | 1.5 | 3.0 | |
常には回転しない場合 [ときどき揺動する] |
普通の使用条件 | 0.5 | 1.0 |
衝撃荷重、不均一な分布荷重 | 1.0 | 2.0 |
潤滑条件
aISO係数を考慮した修正定格寿命と、旧a23係数を考慮した補正定格寿命を計算する際の潤滑油条件を設定します。
運転温度 | 運転時の潤滑油(または軸受)の温度を入力してください。 |
運転時動粘度 | 運転時温度での潤滑油の動粘度を入力してください。 |
※運転時温度における動粘度がわからない場合「運転時動粘度の計算」ボタンをクリックしてください。
運転時温度での潤滑油の動粘度の設定を行うことができます。
温度条件(1)(2) | 任意の温度(1)(2)を入力してください。 但し、(1)(2)に、同じ温度を入力することはできません。 |
温度条件(1)(2)での動粘度 | 任意の温度条件(1)(2)での潤滑油の動粘度を入力してください。 |
使用条件
aISO係数を考慮した修正定格寿命と、旧a23係数を考慮した補正定格寿命を計算する際の使用条件の設定を行います。
軸受単体に負荷される荷重(ラジアル荷重・アキシアル荷重)及び回転速度を入力してください。
(荷重の算出方法は、「軸受の知識」編 3.2項を参照してください。)
一般に、荷重条件は一定ではなくさまざまな形で変動します。
この変動荷重を考慮する場合、変動する回数(あるいはパターンの数)に合わせて条件を入力してください。
同時に各使用条件の使用頻度を考慮する必要があるので、使用割合も入力してください。
信頼度係数 a1
信頼度は,"一群の同じ軸受を同一の条件で運転したとき,特定の寿命に達するか,又はそれを超えることが期待される軸受の個数の総個数に対する割合"で,信頼度が90%以上(破損確率が10%以下)の修正定格寿命を求める場合のa1の値を示します。
信頼度 (%) | Lnm | a1 |
---|---|---|
90 | L10m | 1 |
95 | L5m | 0.64 |
96 | L4m | 0.55 |
97 | L3m | 0.47 |
98 | L2m | 0.37 |
99 | L1m | 0.25 |
99.2 | L0.8m | 0.22 |
99.4 | L0.6m | 0.19 |
99.6 | L0.4m | 0.16 |
99.8 | L0.2m | 0.12 |
99.9 | L0.1m | 0.093 |
99.92 | L0.08m | 0.087 |
99.94 | L0.06m | 0.080 |
99.95 | L0.05m | 0.077 |
(JIS B 1518:2013より引用)
汚染係数 ec
汚染された潤滑剤の固体粒子が軌道面と転動体とで噛み込まれると,軌道面及び/又は転動体に圧こんが生じる場合があります。これらの圧こんで,局部的に応力が増加して,寿命が低下します。この潤滑剤の汚染による寿命低下は,汚染レベルから汚染係数ecとして求めることができます。
ここで,表中のDpwはピッチ径で,簡易的にDpw=(D+d)/2で示されます。
なお,特殊な潤滑条件や詳細検討などは,ジェイテクトにご相談ください。
汚染レベル | ec | |
---|---|---|
Dpw < 100mm | Dpw ≧ 100mm | |
極めて高い清浄度 : 粒子の大きさは潤滑剤の油膜厚さ程度で、実験室レベルの環境 | 1 | 1 |
高い清浄度 : 極めて細かなフィルタでろ過された油、標準的なグリース封入軸受及びシール軸受 | 0.8~0.6 | 0.9~0.8 |
標準清浄度 : 細かなフィルタでろ過された油、標準的なグリース封入軸受及びシールド軸受 | 0.6~0.5 | 0.8~0.6 |
軽度の汚染状態 : 潤滑剤が僅かに汚染 | 0.5~0.3 | 0.6~0.4 |
普通の汚染状態 : シールなし、粗いフィルタ使用、摩耗粉及び周辺から粒子が侵入する環境 | 0.3~0.1 | 0.4~0.2 |
重度の汚染状態 : 著しく汚染された周辺環境かつ、軸受の密封性が不十分な状態 | 0.1~0 | 0.1~0 |
極度の汚染状態 | 0 | 0 |
(JIS B 1518:2013より引用)
ベアリング選定にお困りの方へ
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