ハブユニット
高い精度で
悪路での耐久性を向上
ハブユニットは、自動車を車軸から支える重要な役割を担い、ベアリングと周辺部品とをユニット化した製品です。車両重量を支えながら滑らかに回転するタイプと、さらにエンジンの駆動力を伝えるタイプがあります。ハブユニットには、車両性能への影響が大きいため高い精度と、悪路走行での耐久性が求められます。
ホイールの構造と
ベアリングに求められる機能
ホイール用ベアリングを含むアクスル部全体の構造を示します。ホイールには駆動輪(車両重量を支えてエンジンの駆動力を伝えて回転)と従動輪(車両重量を支えながら滑らかに回転)とがあります。駆動輪ではベアリングの内輪が回転し、従動輪ではベアリングの内輪または外輪が回転します。
ハブユニット
(ホイール用ベアリング)とは?
構造
以前は、ホイールには2個のラジアル玉軸受または円すいころ軸受が組み合わせて使われていました。ホイール用ベアリングは周辺部品とのユニット化が進み、現在では第3世代ハブユニットまで実用化されています。
・第1世代ハブユニット
二つの単列ベアリングの外輪を一体にし、シールを付けてグリースを封入しています。玉を組み込んだタイプ(DAC)と、円すいころを組み込んだタイプ(DU)とがあります。
DACタイプ
DUタイプ
・第2世代ハブユニット
第1世代ハブユニットの外輪にフランジを一体化し、回転輪により2種類に分類されます。外輪回転タイプでは、外輪に直接ホイールを取り付け、全て従動輪に使われます。内輪回転タイプでは、内輪にハブシャフトを取り付け、駆動輪と従動輪の両方に使われます。
・第3世代ハブユニット
第2世代ハブユニットをさらに発展させ、内輪回転タイプのアウター側(タイヤ側)の内輪とハブシャフトを一体化し、高機能センサを内蔵するタイプが増加しています。また、従動輪用は、ハブシャフトと内輪とをナットでの締結方式から、軸端かしめ方式に変更されてきています。
・ABSセンサの内蔵
自動車の安全性を高めるため、ブレーキを制御するABS(アンチロックブレーキシステム)の装着が普及し、車輪回転システムとセンサとを備えるセンサ内蔵ハブユニットが使われ、小型・軽量化および車両への取付け工程が簡素化されています。
センサカバー一体型
スティックタイプセンサ内蔵型
特長
ハブユニットには、「低燃費と走りとの両立」、「高い信頼性」および「高容量」が求められ、それらを各構成部品に盛り込んでいます。
- ・低燃費と走りとを両立し、「低燃費」=軽量化と、「走り」=強度・剛性を高次元で両立
- ・泥濘路走行など厳しい環境でも、高い信頼性を確保
- ・許容スペースを最大限に生かしきるベアリングの高容量設計
ここでは駆動輪用ハブユニットの特長を示します。
なかでも、シールはハブユニットの機能を支える最も重要な構成部品の一つであり、ハブユニットと共に進化をしています。ジェイテクトは、泥水の侵入防止に優れそのうえ低トルクのシールも採用し、燃費削減に貢献しています。
アウター側(タイヤ側) アウターシール |
インナー側(車体側) インナーシール |
|
---|---|---|
標準品 | ||
低トルク仕様品 |
乗用車用ハブユニット
乗用車では、第3世代ハブユニットまでが実用化されています。
玉を組み込んだハブユニット(ボールハブユニット)が多く使われますが、一部の重量の大きな車両(SUVなど)では、高容量の円すいころを組み込んだハブユニット(ローラハブユニット)が使われます。
商用車用ホイールベアリング
重量の大きい商用車では、現在でも2個の円すいころ軸受を組み合わせて使うことが主流です。ジェイテクトは材料・熱処理(KEベアリング)を改善し、ベアリングの長寿命化を実現しています。また、円すいころを組み込んだ第1世代ハブユニット(DU)が使われています。
ベアリング交換時には、同時にホイール用オイルシールも交換されます。
また、荷重が大きく走行距離も多くなりがちな商用車は、ホイールベアリングの整備不良によって火災事故につながる可能性があることが国土交通省からも通達されています。
ジェイテクトでも使用者まで理解をいただけるよう、啓もう活動を実施しています。
上記、配布物にあるような異常を発見された場合は、速やかにベアリング点検・交換を行ってください。
商用車用ホイールオイルシール・
トレーラー用ホイールオイルシール
ベアリング交換時には、同時にホイール用オイルシールも交換されます。
関連動画
ハブ用円すいコロ軸受の整備の流れ
低トルクハブユニット HUB-LFT
※LFTは、Low Friction Torqueの略で、ジェイテクトの登録商標です。
アウター側(タイヤ側)
アウターシール
インナー側(車体側)
インナーシール