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ベアリングコラム 初心者講座 「はめあい」

「ベアリングコラム」の読者の皆様
いつも、「ベアリングコラム」をご覧いただきありがとうございます。

初めまして。突然ですが、ベアリングコラム編集担当のWです。

ベアリングコラムを編集する際には読者の皆様にわかりやすい内容とするために、あえて概要だけに留めたり、詳しすぎる内容を削ったりしています。

しかし、本当は「もっと知ってほしい!」と思う内容があります。

今回は、そのような内容の一つ「はめあい」を「ベアリングコラム 初心者講座」としてご紹介します。

1.「はめあい」って何?

ベアリングのことを学ぶときや、実際に選ぶときには「はめあい」という用語をよく目にします。しかし、ベアリングにあまり詳しくない方では「???」となってしまわないでしょうか?

「ベアリングの選び方(その4)」では、「はめあい」を次のように説明しています。

ベアリングの内輪の内径と軸径との関係、またはベアリングの外輪の外径とハウジング内径との関係を、「はめあい」と呼びます。ベアリングの内輪と軸との関係を例として、「はめあい」の種類をご紹介します。

これを簡潔に表現すると、
「軸」と「穴」の組合せ方 またはその関係
ですが、この表現でもまだわかりづらいと感じます。

そこで「軸」と「穴」との関係を使って「はめあい」を解説します。

「軸」と「穴」との関係には、
「軸の寸法」が「穴の寸法」よりも小さい場合[図1-a)参照]と、
「軸の寸法」が「穴の寸法」よりも大きい場合[図1-b)参照]とがあります。

図1 「軸」と「穴」との関係

図1 「軸」と「穴」との関係

この関係を「はめあい」といいます。

2.ベアリングの「はめあい」

なぜ、ベアリングには、「軸の寸法」が「穴の寸法」よりも小さいまたは大きい場合の「はめあい」があるのでしょうか?

ベアリングは回転する機械部品です。
このため、

  • ベアリングの回転時の温度はどれくらいか?
  • 頻繁に取付け/取外しをするかどうか?
  • またはベアリングと軸がしっかり固定されている必要があるのか?

など、用途によって使用条件が異なります。

このためベアリングが十分な性能を発揮するためには
ベアリングの使用条件に適した「はめあいの種類」を選ぶ必要があります。

※実際は他にも、さまざまな使用条件を考慮する必要がありますが、興味のある方は、コラム「ベアリングの選び方(その4)」や、ジェイテクトの転がり軸受総合カタログを、ぜひご覧ください。

ベアリングの選び方(その4)~「ベアリングの許容回転速度・精度と、はめあい」~

転がり軸受総合カタログ - 軸受のはめあい

次に「はめあいの種類」とその違いについて説明していきます。

3.「はめあい」の種類

「はめあい」には種類があると説明しましたが、具体的にはどのように異なるのでしょうか?それぞれの「はめあい」の種類について学んでみたいと思います。

3-1.すきまばめ

「軸の寸法」が「穴の寸法」よりも小さい場合の「はめあい」を、「すきまばめ」といいます。
この場合、「軸の寸法」と「穴の寸法」との差を「すきま」といいます(図2参照)。

図2 すきまばめ

図2 すきまばめ

「軸」と「穴」とを組み込むときに、「軸」と「穴」との間には常にすきまができ、組込み・取外しが簡単です。

ベアリングに「すきまばめ」が適した事例は「軸」の熱膨張を逃がす「自由側ベアリング」があります。また、頻繁に「ベアリング」の組込み・取外しを行う用途にも使います。

自由側ベアリング:ベアリングの選び方(その2)~「ベアリングの配列の決め方」

3-2.しまりばめ

「軸の寸法」が「穴の寸法」よりも大きい場合の「はめあい」を、「しまりばめ」といいます。
この場合、「軸の寸法」と「穴の寸法」との差を「しめしろ」といいます(図3参照)。

図3 しまりばめ

図3 しまりばめ

「軸」と「穴」とを組み込むときには、「軸」と「穴」との間には、まったくすきまがなく、「軸」と「穴」とがしっかりと固定されます。

「しまりばめ」は回転する軸にベアリングをしっかりと固定して、ベアリングの「すべり(クリープ)」を防ぎます。

しかし、簡単にベアリングを組み込めないため、頻繁に組込み・取外しを行う場合には適していません。また、組込み方法を事前に検討しておく必要があります。

3-3 中間ばめ

「中間ばめ」は、「すきまばめ」と「しまりばめ」との中間の「はめあい」です。

しかし、中間とはどういうことでしょうか?

まず、「公差」についてご紹介します。
ベアリング、軸、ハウジングなどの機械部品は、高い精度で加工されますが、加工後の寸法には「ばらつき」があります。

この許容できる寸法の「ばらつき」(最大許容寸法と最小許容寸法との差)を公差といいます(図4および図5参照)。

「ばらつき」について、「軸」と「穴」とに分けて紹介します。

図4 軸の寸法のばらつき

図4 軸の寸法のばらつき

図5 穴の寸法のばらつき

図5 穴の寸法のばらつき

次のように「軸」と「穴」とを組み込むとき、加工後の寸法によって「すきま」または「しめしろ」のどちらかが生じます(図6および図7参照)。

図6 すきまばめとなる場合

図6 すきまばめとなる場合

図7 しまりばめとなる場合

図7 しまりばめとなる場合

このように組み込むときに、「すきまばめ」または「しまりばめ」のいずれかとなる「はめあい」を「中間ばめ」と呼びます。

まとめ

今回は「はめあい」という言葉の概念や種類について学んでみました。しかし実は、「はめあい」についてだけでも、もっともっと学ぶことがあります。今回の初心者講座だけでは、「ベアリングとハウジングとのはめあい」や「公差の等級」などを説明し尽くすことができません。

ベアリングは構造が非常に簡単な機械部品です。しかし、その部品の中に様々な技術やノウハウが盛り込まれており、ベアリングを選ぶときには、考慮すべきことが多くあります。また学ぶことも多く、奥が深いです。

一朝一夕で学ぶことは難しいですが、あきらめずに一歩ずつ進めていきましょう。

次回コラム

次回のベアリングコラム「ベアリングの選び方(その6)」は3月公開予定ですので、ぜひご覧ください。

「ベアリングコラム 初心者講座」もご期待ください。

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