予圧量

予圧量はその目的に応じて寿命、温度上昇、摩擦トルクなどに悪影響を及ぼさない範囲で決めなければならない。
なお、なじみによる予圧の減少、軸及びハウジングの精度、取付け状況、潤滑状態なども十分考慮して決定する必要がある。

11-4-1 組合せアンギュラ玉軸受の予圧量

工作機械の主軸などに使用される 5 級以上の高精度組合せアンギュラ玉軸受の推奨予圧量を表 11-2に示す。
JTEKTでは、種々の用途に対して適正な予圧を自由に選択できるように、微予圧( S)、軽予圧( L)、中予圧( M)、重予圧( H)の 4 種類の標準予圧量を設定している。
予圧量の選定の目安として、研削スピンドルには軽予圧又は中予圧、旋盤主軸やフライス盤主軸には中予圧又は重予圧が一般に用いられる。
また、軽又は中予圧で使用する高精度組合せアンギュラ玉軸受の推奨はめあいを表 11-3に示す。

表 11-2 高精度組合せアンギュラ玉軸受の標準予圧量

単位:N
内径番号 7900 C 7000 7000 C 7200 7200 C ACT 000 ACT 000 B
00 5 15 30 30 80 145 6 20 50 100 50 145 245 10 30 80 145 - - - -
01 7 20 40 30 80 145 6 20 50 100 60 145 295 15 40 100 195 - - - -
02 8 25 50 50 145 245 10 30 80 145 80 245 390 15 50 145 245 - - - -
03 8 25 50 60 145 295 15 40 100 165 100 245 540 25 70 145 345 - - - -
04 15 40 80 60 145 295 15 40 100 245 145 295 635 25 80 195 390 - - - -
05 15 50 100 100 245 490 20 60 145 295 145 390 785 35 100 245 490 - - - -
06 15 50 100 145 295 635 25 80 195 390 145 590 930 35 100 295 590 195 345 295 685
07 25 70 135 145 390 785 35 100 245 490 245 785 1270 50 145 390 785 195 390 390 735
08 25 80 145 145 390 785 35 100 295 590 390 880 1570 65 195 440 880 245 440 440 835
09 35 100 195 245 540 980 50 145 345 635 490 1080 1770 85 245 540 1080 245 490 490 930
10 35 100 195 245 635 1180 50 145 390 735 540 1180 2060 85 245 590 1180 295 540 540 1030
11 40 115 235 295 785 1370 65 195 440 880 635 1370 2450 100 295 735 1470 390 685 685 1270
12 40 115 235 390 880 1570 65 195 490 980 785 1470 2940 110 345 785 1670 390 735 735 1420
13 50 145 295 440 980 1770 85 245 540 1080 835 1670 3330 125 390 930 1860 440 835 785 1520
14 65 195 390 490 1080 2060 85 245 635 1270 930 1860 3730 160 490 980 2060 590 1130 1030 2010
15 65 195 390 590 1180 2160 100 295 685 1370 980 2160 3920 195 590 1180 2350 590 1130 1080 2110
16 65 195 390 635 1370 2350 100 295 735 1470 1080 2450 4310 225 685 1370 2750 685 1370 1270 2500
17 85 245 490 735 1570 2550 125 390 880 1770 1270 2940 4900 260 785 1570 2940 735 1420 1320 2600
18 100 295 590 785 1670 2840 145 440 980 1960 1470 3240 5390 260 785 1770 3430 980 1860 1770 3380
19 100 295 590 880 1770 3140 160 490 1080 2060 1670 3430 5880 290 880 1960 3920 980 1960 1860 3530
20 100 345 685 880 1960 3530 175 540 1180 2160 1860 3920 6370 325 985 2160 4410 1030 2010 1910 3680
21 100 345 685 980 2160 3920 195 590 1270 2350 2060 4310 7060 355 1080 2350 4900 1180 2250 2150 3770
22 145 390 785 1080 2380 4410 210 635 1470 2550 2260 4900 7850 385 1180 2450 5290 1320 2600 2450 4760
24 145 490 980 1180 2650 4900 225 685 1670 2840 2450 5390 8830 420 1270 2840 5490 1420 2800 2550 5100
26 195 590 1180 1370 3140 5390 245 735 1770 3140 2750 5880 9320 485 1470 3140 5880 1770 3380 3230 6230
28 195 635 1270 1470 3430 5880 260 785 1960 3920 2940 6370 9810 520 1570 3430 6370 2010 3920 3720 7210
30 245 735 1470 1770 3920 6860 275 835 2160 4410 3330 6860 10300 585 1770 3730 6860 2500 4850 4660 8920
32 245 785 1570 2160 4410 7850 290 880 2350 4900 3630 7350 10800 645 1960 4120 7850 2500 4850 4660 8920
34 345 880 1810 2450 4900 8830 325 980 2450 5390 3920 7850 11800 645 2160 4410 8340 3090 6030 5730 11100

〔 S:微予圧, L:軽予圧, M:中予圧, H:重予圧〕

表 11-3 予圧で使用する高精度組合せアンギュラ玉軸受の推奨はめあい

(1)軸の寸法許容差

単位:µm
軸径の基準寸法mm内輪回転外輪回転
を超え以下軸径の許容差現物合せ1)の場合の軸と内輪のしめしろ軸径の許容差
610 - 2 0~2 0
- 6 - 4
1018 - 2 0~2 0
- 7 - 5
1830 - 2 0~2.5 0
- 8 - 6
3050 - 2 0~2.5 0
- 9 - 7
5080 - 2 0~3 0
-10 - 8
80120 - 2 0~4 0
-12 -10
120180 - 2 0~5 0
-14 -12

〔注〕
1)現物合せとは、軸径寸法に合わせて軸受の内 径寸法を決定することをいう。

(2)ハウジング穴の寸法許容差

単位:µm
ハウジング穴の基準寸法mm内輪回転外輪回転
ハウジング穴の許容差ハウジング1)と外輪のすきまハウジング穴の許容差
を超え以下固定側軸受自由側軸受
1830 ± 4.5 + 9 2~ 6 - 6
0 -12
3050 ± 5.5 +11 2~ 6 - 6
0 -13
5080 ± 6.5 +13 3~ 8 - 8
0 -16
80120 ± 7.5 +15 3~ 9 - 9
0 -19
120180 ± 9 +18 4~12 -11
0 -23
180250 ±10 +20 5~15 -13
0 -27
250315 ±11.5 +23 6~18 -16
0 -32

〔注〕
1)軸受を固定する時は下限側をねらい、自由側に使用する時は上限側をねらう。

11-4-2 スラスト玉軸受に加える予圧量

スラスト玉軸受を高速で回転させると、遠心力とジャイロモーメントによって玉と軌道面との間で滑りが生じ、軌道面にスミアリングなどの損傷を起こすことがある。
この滑りを防ぐためには、すきま なしで取付け、次式で求められる必要最小アキシアル荷重より大きいアキシアル荷重(予圧)をかける必要がある。
なお、外部からのアキシアル荷重が0.001 3C0a以下の場合は、潤滑条件が良好であれば軸受への悪影響はなく、軸受損傷の恐れはない。

一般にアキシアル荷重のかかる回転部分を高速回転で使用する場合は、深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受を使用するのがよい。

11-4-3 スラスト自動調心ころ軸受に加える予圧量

スラスト自動調心ころ軸受は使用中にころと軌道面との間に生じる滑りによって、かじり やスミアリングなどの損傷を起こすことがある。
この滑りを防ぐためには、すきま なしで取付け、必要最小アキシアル荷重より大きいアキシアル荷重(予圧)をかける必要がある。
必要最小アキシアル荷重は次の 2 つの式で求められた値の大きい方を採る。

  • スラスト玉軸受(接触角90°)
a_116_001.png
  • スラスト自動調心ころ軸受( 2 つの式で求められた値の大きい方を採る)
a_116_002.png
a_116_003.png
解決しない場合

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