軸受の取外し

軸受の取外しには、取外した軸受の利用方法を考慮しなければならない。
取外した軸受を廃却する場合は焼き切るなど、なるべく手間のかからない方法でよい。
再使用する場合や故障原因を究明する場合には、取付けと同様に入念に行い、軸受及び各部品を損傷しないように注意する必要がある。
特に、しめしろのある軸受を取外す場合は、傷がつきやすいので、設計の段階で取外しを考慮しておく。場合によっては、取外し用の治具を設計製作しておくとよい。
また、軸受を取外す前に、方向や位置を現品などに記録しておくと、故障原因の究明に役立つ。

取外し方法

しまりばめの軸受を再使用 又は故障原因の究明のために取外す場合の方法について、次の表に示す。
『表 15-7 円筒穴軸受の取外し』
『表 15-8 テーパ穴軸受の取外し』
『表 15-9 外輪の取外し』

また、引抜きに要する力は、軸受の取付けページ『参考:軸受の圧入又は引抜きに要する力』に示した計算式により求めることができる。

表 15-7 円筒穴軸受の取外し

内輪の取外し方法解説
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(a)プレスによる取外し

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(b)引抜き治具による取外し

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(c)引抜き治具による取外し

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(d)誘導加熱装置による取外し

  • 非分離形軸受の取外しには、できるだけ転動体に外力が作用しないように取扱うことが大切である。
  • (a)図のようにプレスを用いて引抜くことができれば、最も簡単である。このとき、引抜き力を内輪で受けられるように当て金などを用意するとよい。
  • (b)(c)図は専用の引抜き治具による方法で、いずれも治具の爪が内輪の側面に確実にかかるようにしなければならない。
  • (d)図は誘導加熱装置を用いた例で、NU形・NJ形円筒ころ軸受の内輪の取付け、取外しの両方に利用できる。短時間で内輪を加熱・膨張させることができる。

表 15-8 テーパ穴軸受の取外し

内輪の取外し方法解説
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(a)くさびによる取外し

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(b)油圧による取外し

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(c)クランプを用いた取外し

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(d)油圧ナットによる取外し

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(e)ナットによる取外し

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(f)ボルトによる取外し

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(g)油圧ナットによる取外し

  • (a)図はラビリンスの裏側の切欠きにくさびを打込んで取外す方法で、(b)図ははめあい面に高圧の油を送り込んで取外す方法である。
    いずれの場合も、急に軸受が抜け出る恐れがあるため、ストッパ(軸ナットなどを利用)を設けておくとよい。
  • アダプタ付き軸受の取外しには、(c)図のように軸受をクランプで固定し、ナットをゆるめてからアダプタスリーブを叩き出す方法(小形の軸受に多い)と、(d)のような油圧ナットを用いる方法とがある。
  • 取外しスリーブ付き軸受で小形のものは(e)図のようにナットを締込めば取外すことができる。
    大形のものは(f)図のようにナットに数箇所ボルト穴を設けて、ボルトを締込めば簡単に取外すことができる。
  • また(g)図のように油圧ナットを用いる方法もある。

表 15-9 外輪の取外し

外輪の取外し方法解説
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(a)取外し用切欠き

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(b)取外し用ボルト穴とボルト

  • しめしろを持った外輪を取外すためには、ハウジングの肩の部分に切欠き又はボルト穴を設けるとよい。
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