軸受本来の性能を十分発揮させ、長く維持させるためには、保守・点検を定期的に確実に行う必要がある。
適切な保守・点検により、異常を早期に発見し、事故を未然に防止することは、生産性・経済性の向上のためにも重要なことである。
15-6-1 洗浄
軸受を取外して点検する場合には、まず写真撮影などによって外観を記録する。
また、潤滑剤の残存量を確認し、調査のための試料を採取してから洗浄する。
- 汚れた軸受の洗浄は、粗洗浄と仕上げ洗浄に分けて行い、これらの容器の底には金網台などを設けておくとよい。
- 粗洗浄は、洗浄油の中でブラシなどを用いてグリースや付着物を落とす。このとき、油中で軸受を回転させると、異物などのため、軌道面に傷をつけることがあるので注意する。
- 仕上げ洗浄は、洗浄油の中で軸受を静かに回転させながらていねいに行う。
洗浄剤には、通常、中性無水の軽油や白灯油を使用するが、必要に応じて温アルカリ液などを使用することもある。いずれの場合も、常にろ過して清浄にしておくことが大切である。
洗浄後は、直ちにさび止め油又はさび止めグリースを軸受に塗布しておく。
15-6-2 点検と判定
取外した軸受の再使用が可能かどうかを判定するためには、寸法公差・回転精度・内部すきま・はめあい面・軌道面・転動面・保持器・シールなどに異常がないかを注意深く点検する。
判定は軸受の取扱いに慣れた人か、軸受を熟知した人が実施するのがよい。
判定基準は機械の性能、機械の重要度、点検周期などによっても変わる。
などの欠陥があれば、軸受の再使用はできないので、新しい軸受と交換しなければならない。