基本静定格荷重と静等価荷重

5-5-1 基本静定格荷重

軸受は過大な静荷重を受けたり、極低速回転でも衝撃荷重を受けると、転動体と軌道との接触面に局部的な永久変形を生じる。この永久変形量は荷重の増大とともに大きくなり、ある限度を超えると円滑な回転を妨げるようになる。
基本静定格荷重とは、最大荷重を受けている転動体と軌道との接触部中央において、次に示す計算接触応力に対応する静荷重をいう。

  • 自動調心玉軸受 4600MPa
  • その他の玉軸受 4200MPa
  • ころ軸受 4000MPa

これらの接触応力のもとで生じる転動体と軌道の総永久変形量は、転動体の直径の約0.0001倍となる。

ラジアル軸受の基本静定格荷重を基本静ラジアル定格荷重、スラスト軸受のそれを基本静アキシアル定格荷重と呼び、それぞれC0rC0aと表わして軸受寸法表に記載している。

5-5-2 静等価荷重

静等価荷重とは、軸受が静止しているときや極低速回転の場合に、実際の荷重条件のもとで生じる接触応力と同じ接触応力を、最大荷重を受けている転動体と軌道との接触部中央に生じさせるような大きさに換算した仮想荷重をいう。
ラジアル軸受では軸受中心を通るラジアル荷重を採り、スラスト軸受では中心軸に一致した方向のアキシアル荷重を採る。

静等価荷重は次式で求められる。

〔ラジアル軸受〕

次の二つの式で求められた値のうち大きい方を採る。

a_42_001.png

〔スラスト軸受〕

a_42_002.png
a_42_003.png

5-5-3 安全係数

軸受に許容される静等価荷重は、軸受の基本静定格荷重によって決まるが、前述の永久変形量(局部的な凹み)による軸受の使用限度は、軸受に要求される性能や使用条件により異なる。
従って、基本静定格荷重に対する安全度を検討するため、従来の経験を考慮した安全係数を定めている。

a_43_001.png
a_43_002.png

表 5-10 安全係数ƒsの値

使用条件ƒs(最小)
玉軸受ころ軸受
回転する
場合
高い回転精度を
要する場合
2 3
普通の使用条件 1 1.5
衝撃荷重のある
場合
1.5 3
常には回転
しない場合(ときどき
揺動する)
普通の使用条件 0.5 1
衝撃荷重、不均
一な分布荷重
1 2

〔備考〕スラスト自動調心ころ軸受の場合はƒs≧4とする。

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